構造物変位計測技術研究会

研究会名称構造物変位計測技術研究会 区分SPR-B[共同提案型]
委員長松井 繁之 構成員7名
幹事長 夏川 亨介
活動目的・内容 (研究の名称)
構造物の微小鉛直・水平変位計の開発

(研究概要)
2点の不動装置間に基準線となるワイヤを緊張し、2点間内の構造物の微小な鉛直および水平を計測するシステムの開発研究であり、以下に記述するように、2022年度はほぼ期首の目標を達成した。

(計測のイメージ例)
河川を横断する桁式高架橋の一部の橋脚が洗堀の影響を受け基礎部の補強工事などが施工される場合を例に挙げる。工事対象構造の前後の橋脚は工事の影響を受けない不動構造物と考え、不動装置を設け、その間に特殊ワイヤを緊張し不動基準線とする。一方補強工事が行われる橋脚の天端には非接触でワイヤとの離隔寸法を鉛直および水平の2軸測定可能な微小変位計を設置しワイヤとの相対変位の計測値をもって計測対象構造物の変位とみなす手法である。
前年度の活動

1) 大規模室内試験の実施と成果
約150㎡の試験室を確保し、約15mのワイヤを緊張し以下の試験を行った。
・特殊ワイヤの選定後、ワイヤの耐荷力、クリープ特性の確認を行い実用化は可能であると判断した。
・環境変化(温度および風力)に対する影響確認と時系列の振動分析し良好な結果を得た。
・2点の固定端とワイヤの緊張装置を開発し、動作確認を行い、一部改良を加えた。

2) 室内試験にて得られたワイヤの振動データの解析ソフトを開発しワイヤの自然振動をよる影響値を除外する手法を開発した。

3) 上記①および②で得られた知見をもとに、実高架橋での実物大試験計画書を策定し、鉄道事業者に趣旨を説明し現地構造物の使用の許可を得た。並行して試験用設備を製作し、下半期から現場試験を開始した。

4) (実物大試験の実施概況)
実現場での試験期間は令和4年5月から令和5年3月の11か月間実施し上期はワイヤ延長40mとし、期間の下期は60mとした。現在も貴重なデータを収録し併せて解析を行い貴重な知見を積み重ねている。現場では同時に、気象観測機器・高速度カメラ・3次元傾斜計による変位測定を行っており、計測対象構造物の季節変動の影響分析を進めている。なお、令和5年度も、当計測システムの精度および信頼度向上のため実物大試験は継続し、併せて現場作業の省力化などの課題検討も行う。

今年度の活動
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