災害科学研究所は、昭和9年の室戸台風を契機に昭和12年1月に設立された「日本学術振興会災害科学研究所」を前身とする伝統ある研究所です。その後、第二次世界大戦時の組織改編を経て、昭和23年8月に文部大臣認可の「財団法人災害科学研究所」として発足しました。さらに、平成24年4月1日には、内閣府認可の非営利型財団法人「一般財団法人災害科学研究所」に移行いたしました。
設立当初より今日まで、風水害、地震災害、地盤災害などの自然災害に関わる研究に大きく貢献し、多くの工学的分野における産学官民連携の研究推進基盤として、自然災害のみならず人為災害や事故も含めた広範な調査・研究に数多く関わって参りました。
平成7年の阪神・淡路大震災以降は、気候変動の影響とも相まって、大規模自然災害が多発しており、平成23年3月には地震、津波、原発事故による3重災害となった未曾有の東日本大震災が発生するなど、社会の防災力を超える巨大災害の時代に入ったことを実感します。その後も毎年のように繰り返される豪雨・土砂災害や頻発する大規模地震災害を経験するとともに、南海トラフ巨大地震の発生も危惧されています。今後は、これまでの災害のイメージや防災対策の枠組みに捉われない発想に基づく対応が求められ、それに応える革新的な災害研究が期待されます。
社会的な問題としては、情報化やグローバル化などの時代の流れに対応するとともに、将来を担う着実な技術力を身につけた人材を育てることも、安全安心な国づくりのために必要不可欠であると思われます。
当研究所におきましては、組織の適正化、活動の多様化・活性化、公益事業の拡充、異なる専門分野の連携などをキーワードに、産官学民連携の礎となるべく取組んでおります。120名を超える研究員の陣容のもと、災害関連をはじめとする種々の研究・技術開発への寄与はもちろんのこと、次世代を担う技術者の人材育成や技術伝承、および技術評価や技術相談などにも大いに寄与し社会貢献して参りたいと考えております。
今後とも、皆様のご理解とご支援をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
令和6年7月
一般財団法人 災害科学研究所
理事長 青木 伸一